【レビュー】Lovetone / Big Cheese
あけましておめでとうございます。
Mads 改め ma でございます。
2022年からブログと音楽活動の名義を統一することにしました。今年も流行りに流されず、好きなものを好きなように紹介したいなあと思っています。
さて、新年一発目はLovetone / Big Cheeseを紹介します。
Lovetone(ラブトーン)はかつてイギリスに存在したペダルブランドです。
1995年から販売を開始して2001年に製造中止をアナウンス、数年後にいくつかのモデルのみ再生産したのですが2000年代後半には完全に製造・販売が終了しました。
"Big Cheese"はLovetone初期から作られていたファズペダルです。
ちなみにこのネーミングは、単に「大きなチーズ」という意味だけではありません。英語圏では「大物」とか「偉い人」みたいなニュアンスの慣用句としても使われている言葉です。
私がエフェクターに興味を持ち始めたころにはとっくに入手困難になっていて、日本の市場では年に1つ見かけるか見かけないか、ぐらいの珍品です。正確な販売価格は分からないのですが、当時のペダルマニアにはCentaurのKlonと並ぶ高価なエフェクターブランドとして知られていたみたいです。
近年ではJHSから"Cheese Ball"というインスパイアモデルが発売されるなど、今でもそのサウンドを再現しようと試みるブランドは多いです。(Cheese Ballはいつか入手して比較してみたいと思ってます
まず初めて手にしたときに驚いたのはその軽さです。恐ろしく軽いです。
そしてノブもスカスカと回ります。故障ではなくこれも元からのようです。ほんとにそんな高価なペダルなのか?と若干疑いたくなります。
筐体のデザインはLovetoneならではで、ネジ類を使わずに簡単に開いて基盤をみることができます。
コントロール類にはチーズにちなんだ名称がつけられています。
右上のノブ。こちらは4つのモードを選択するスイッチになっています。
・Off = トーンバイパス
・1 = ミッドスクープ
・2 = ミッドブースト
・3 = ゲートファズ
というように、ミッドの削れ具合3種+ゲートファズの中から選択できます。ベースのとなるサウンドはほとんど一緒です。
"Tone"はそのままトーンコントロール。中央がニュートラル、左回しでローパス、右回しではハイパスとなります。ビッグマフと同じタイプですね。非常に強烈にフィルターがかかります。
"Curds"はゲイン的な役割です。0でもしっかり歪み、回すと歪量が増えるというより、ファットな成分が増えていくイメージです。トーンベンダーのAttackに近い感覚です。
"Whey"はボリュームです。おおよそ12時~1時くらいがユニティです。ただ音量が上がるだけでなく、上げるほど歪み感も増すイメージです。このあたりもトーンベンダーに近いものを感じます。
さて肝心のサウンドです。
誤解されがちなのですが、Big Cheeseはビッグマフ系ではありません。
私も手に入れてからきちんと調べるまでビッグマフ系のファズだと勘違いしておりました。
回路的にはトーンベンダーやファズフェイスの親戚にあたるようです。それらの歪みを更に数段深くしてビッグマフと同じトーンコントロールを備えたファズ、という作り。
前述したとおり、私的にはトーンベンダーに近い感覚の歪みだなあという第一印象でした。低音弦を鳴らした時のみょんみょんと弾む感じ(伝わりますでしょうか?)はビッグマフにはない質感です。
全体的に明るめなサウンドで"Tone"と"Curds"の調整でカッティング的なフレーズから壁のような轟音まで幅広く使えます。
特筆すべきはゲートファズのモード。ゲートの効き具合は"Curds"で調整します。ギターの出力にもよりますが3時くらいまで回すとブチブチとしたサウンドに変化し始めます。このサウンドこそまさに”Big Cheeseのサウンド”と言って良いでしょう。
他のクローンやリスペクト系のペダルと違って"このペダルじゃないと出さない音"だなと思います。個性的なファズが好きな人にはたまらんやつだと断言できます。