ma機材レビュー

忘備録を兼ねて実際に使った機材をレビューします

【レビュー】MATRISE / Pladask Elektrisk

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こんにちは、Madsです

2021年は手持ちのエフェクターを半分にする、を目標に掲げたのですが

放出した傍から新しいのを買ってしまうのでなかなか減りません汗

 

今回紹介するMATRISEはずっと再販を待ち望んでいた代物です

 

MATRISEについて、まず最初に言わなければならないことがあります

これはエフェクターではありません

4つのINとOUTを備えたパラレルループミキサーです

 

■概要

計16個のノブが格子状に配置されており、各INPUTからOUTPUTへの送り出しレベルを全て個別に設定できます

送り出しレベルは最大+6dbまで増幅可能です

4つのトグルスイッチは、各OUTPUTの位相を反転させるためのものです

 

 

このMATRISE、シンプルにミキサーとして使う以外に、非常に強力な用途があります。

手持ちのエフェクターをループ状に繋ぐことで、オーディオ信号のルーティングを自在に操ることができます

 

イメージはこんな感じです

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(線とツマミの色が揃ってないはご容赦ください…汗)

まず白4はギター→アンプの送り出しレベル(原音)となります

そして A~Cへの送り出しレベルは、4の横列で調整します

A~Cを通過した信号は各INPUTに戻され、1~3各横列で別のOUTPUTに出力できます

INPUTとOUTPUTが交わるノブ(例えば緑2)を回すと、フィードバックループを発生させて強制的に発振させることができます

(繋ぐエフェクターによっては爆音になってスピーカーが吹っ飛ぶので注意)

 

このように全てのINPUTとOUTPUTをルーティングさせて、

各ループの信号量を細かく調整することで、単に並列・直列で繋いだだけでは実現できない新しいサウンドを生み出すことができます。

 

■使ってみた印象

MATRISEは内部で17Vまで昇圧しヘッドルームを大きくすることで、音質変化を最小限にしているとのこと。実際聴いてみても、原音はほぼそのままの音で出力されているように感じます

普通にパラレルミキサーとして非常に優秀です

例えば、1台のアンプに2つのギターを繋ぐとか、逆に4台のアンプに繋いで音の壁を作るなんていう一般的な用途も問題なしです

他にもDTMで出力、入力を分けたり、まとめたりが簡単にできるのでとても便利だと思いました

 

エフェクターをルーティングさせる場合、どんなエフェクターを繋ぐかで効果が大きく変わってきます。空間系(特にディレイ、グリッチ)との相性が非常にいいです。 

試しにファズを繋いでフィードバックさせたら爆音が出てとても焦りました笑

 

ここでひとつ注意点

並列で鳴らす場合、エフェクターをオフにしてもバイパス音は出力されます。つまり、「原音+エフェクト音」が「原音+バイパス音(原音)」となり音量が2倍になってしまいます。
ですから、エフェクトはオンのまま使用し、ツマミの操作でエフェクト音を調整するのが基本的な使い方でしょう

 

ボードに配置してルーティングするのもありでしょうが、前述の注意点を踏まえると設定が固定しなくてはならないのがもったいない

個人的には卓上に置いて、ルーパーなどで録音したフレーズを鳴らしつつ、ツマミをいじることで即興的・有機的なサウンドを作るのが楽しい使い方です

以前紹介したStretch Weaverと同様に、卓上シンセ使いとの相性が良いかもしれません

 

 

【レビュー】Old Blood Noise Endeavors / MINIM

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Instagramに投稿した記事を加筆・修正しています。

 

こんにちは、Madsです。

今回はOld Blood Noise Endeavors(以下OBNE)のMINIMを紹介します。

 

同ブランドの『REVER』の後に作られた姉妹機で、ノーマルディレイとリバースディレイの複合機です。
写真のブラックアウトカラーは、正式ローンチに先んじてReverbで限定100台で発売されました。通常版はもっとカラフルなペイントになってます。

 


ディレイはデジタルですが暖かめなサウンド。

リバーブを切っていても滲むような広がりのある反響を得られます。

リバーブはかなり深くかかります。

Reverbノブは9時の位置でも十分なくらい。大きな空間に反響音が濃密に充満するような印象のサウンドです。
さらにリバーブ音に揺らぎを加えることができます。Modulationノブを動かすとMix、Rate、Depthが連続的に変化します。右に回していくとでRateが速くなりDepthも大きくなります。
このリバーブのチューニングが姉妹機である『REVER』との大きな違いかと思います。

 

そして特徴的なのは、音色を調節するためのパラメーターがないこと。

このあたりにOBNEのこだわりを感じますね。"この音色で鳴らせば間違いない"という絶妙なチューニングになっています。

 

また、本機最大の特徴はReverseスイッチとBlendノブ、さらに背面のSpeedスイッチです。

(表記が全然読めなくすみません。黒過ぎて写真を撮るのがとても難しいのです。。

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Reverveをオンにすることでリバースディレイを混ぜることができます。

Blendでリバースとノーマルの割合を決めます。

Speedをオンにすると、リバースの速度を二倍にすることで1オクターブ上に変化させます。さらにOrderスイッチでリバースディレイをリバーブの前段に置くか、後段に置くかを選択できます。

一応ディレイの括りになりますが、完全にアンビエントマシンです。

トーンがなかったり、モジュレーション設定が固定されているのも、通常のディレイではなくアンビエントな空間表現に特化した機種である裏付けだと思います。

付点8分とか、リードギターにうっすらかけるとか、一般的なディレイ用途には全く向きません。

 

しかし、アンビエントなギターサウンドを求める方にはとてもおすすめです。MINIM一台で完結できるくらいのポテンシャルを秘めていると思います。

【レビュー】Moog / Moogerfooger MF-104M Analog Delay

こんにちは、Madsです

今回はMoog社のMF-104M Analog Delayをレビューします

 

元々アナログシンセを作っていたMoog社が、フロア用のエフェクトペダルシリーズとして製品化したのがMF104Mを含めた”Moogerfooger”シリーズ

ギタリストの皆さんなら、レッチリのジョンフルシアンテが足元に並べているのを目にしたことがあるのではないでしょうか?その影響もあってか、高額ながら非常に人気を博したシリーズでした

しかし、使われている部品が入手困難になり2018年までに全てのモデルが生産完了になってしまいました。そのため、ここ数年で中古価格がどんどん高騰しています

特にMF-104Mは元値が7万ほどにも関わらず国内では15万前後、海外だと20万以上で取引されているようです。Klon Centaur級の高騰ぶり。。。ちなみに私が買ったときは10万くらいでした

 

こんな背景があるが故に「MF-104は凄いペダルだ!」というバイアスがかかりがちなのですが、なるべくフラットな目線でレビューをしてみます

 

MF-104Mの特徴はこんな感じ

①バッファが超秀逸!

②群を抜いて太く存在感のあるサウンド

MIDIで全てのパラメータを操作可能!

④強力なモジュレーション!

 

 

①バッファが超秀逸!

MF-104Mを含む全てのMoogerfoogerはバッファバイパスになっています

このバッファを通した音がとても良いのです。音の角が取れてまろやかになるのだけど、通す前より前に出てくるように感じる。絶妙なアナログ感を付加してくれます

このバッファのためだけでも繋ぐ価値があります

 

 

②群を抜いて太く存在感のあるサウンド

アナログディレイを形容する時「太い」「温かみがある」「ノスタルジック」というような言葉がよく使われますよね。まさにMF-104Mはそのとおりの音がします。非常に厚く存在感のあるディレイです

音色は”LONG(暗め)”と”SHORT(明るめ)”の二種類。”DRIVE”で歪み感を付加することができ、音の”太さ””飽和感”を調整できます。

 

まず使ってみて驚くのは、音が演奏に全く埋もれないという点

LONG(暗め)の音色でもディレイの返しがはっきりと聞こえます。それくらい重厚感のあるサウンドです。フィードバックを大きめにすると、いつまでも鳴りやまなずに音が徐々に溶けていくような感覚を覚えます。デジタルディレイに慣れていると、この感覚はとても新鮮だと思います

 

 

③強力なモジュレーション!

右側の”LFO”セクションでモジュレーションをコントロールします

ディレイ音に揺らぎを付加する機能は珍しものではありませんが、Moogerfoogerのモジュレーションは変化の幅がとても大きいのが特徴です。"AMOUNT"で設定できるピッチの揺れ幅はなんと2オクターブ以上。設定次第では、とてもディレイとは呼べない変態的なサウンドが飛び出します

 

MIDIで全てのパラメータを操作可能!

Moogerfoogerシリーズの内、いくつかはMIDIに対応しています。品番の最後に”M"がついているモデルがそうです。今でこそMIDI対応のアナログディレイは珍しくなくなりましたが、このMF-104Mは先駆的な存在と言えます

MIDIで操作できるのは、ノブやスイッチ操作できる全てのパラメータ。加えてMIDIのみで変更できる裏メニューもあります

 

ひとつ注意が必要なのは、対応しているのがCC(コントロールチェンジ)のみという点。つまりプリセット機能がありません。非常に惜しい部分です

CCを複数同時送信できるMIDIコントローラがあれば疑似的にプリセットを作れます

個人的オススメはMorningstar FXのMCシリーズ。CCを16まで同時送信できます。MIDIコントローラは国内外探し回りましたが、他ブランドより頭一つ抜けてると思います

 

 

以上が、MF-104Mの特徴です。

他にもタップテンポやCVコントロールに対応していたり、筐体がビッグマフよりデカい、という特徴もありますがそれはまた別のお話…笑

 

■まとめ

MF104Mはその希少性、価格高騰も相まって過剰に評価されてしまうペダルのひとつです。

実際はその評価に負けず、他の追随を許さないサウンドを持つ孤高のアナログディレイと言っても差し支えないと思います。(それでも現在の価格は高すぎますが…)

特に”デジタルディレイとアナログディレイは別物”ということを、ここまではっきり教えてくれるペダルは他にないと思います

 

しかし、だからと言って「アナログディレイはMF-104Mが最強なのか?」と問われたら、私は”「いいえ」と答えます

例えば、この重厚なサウンドはともすれば”くどい”と感じることもあり、他のディレイの方がバンド馴染みが良かったりします。存在感の強さゆえに使える曲、バンド、ジャンルが限られるサウンドです。私自身、まだこのペダルを持て余しているというのが本音です

 

以上、Moogerfooger MF-104M Analog Delayのレビューでした

 

 

【レビュー】Drolo fx / Stretch Weaver

ソース画像を表示■Drolo fxについて
Drolo fxはベルギーのエフェクターブランド。
読み方は"どろろ"。主催者の名前がDavid Roloさんなので、略してDroloらしいです。手○治虫の漫画を思い出します。
日本ではあまり知られていないみたいですが、Chase Bliss Audio"MOOD"の右チャンネルをプロデュースしたのがDrolo fxです。
 
山小屋みたいな工房でたった一人で作っているそうで、生産数が少なくて入手がとにかく難しい。1~2か月に1度入荷がありますが1分以内に完売します。毎回戦争です。
現在は6機種がラインナップされていて、Stretch Weaverはその中で最も新しい機種です。
 
■Stretch Weaverの概要
Stretch Weaverは2チャンネルを備えたサイドチェインエフェクトです。
ざっくり説明すると、相手側の入力レベルに応じてこちら側にエフェクトがかかる、という仕組みです。
サイドチェイン自体はポピュラーな技法ですが、これをエフェクターにするという発想がすごい。というか、これをエフェクターと呼んでよいものか最早わかりません。
 
コントロール類は以下のような働きです。
上段のツマミは各OUTから出力する信号のドライとウェットの音量を調節します。
下段のleftとrightは、各チャンネルがもう一方のチャンネルに対してエフェクトをかけるトリガーとなる入力レベルのスレッショルドしきい値)を調整します。左回し切りでエフェクト無効、右に回すほど小さな入力レベルでエフェクトがかかるようになります。例えばrightのツマミを回すと、Rチャンネルに入力された信号レベルに応じてLチャンネルにエフェクトがかかります。
下段中央のctrlは選んだエフェクトに応じて効果が変わります。
 
エフェクトはstretch、weave、repeat、tape、pitch、glide、gateの8種類です。
どんなサウンドになるのか、言葉であれこれ説明するよりも、公式がアップしてる試奏を聞いてみてもらったほうが早いです。(丸投げですみません…でも本当に説明が難しいんです汗
2種類の信号がお互いに影響し合うことで、有機的・偶発的なフレーズが次々と生まれます。
 
グリッチ、グラニュラー、ランダムピッチ、テープエフェクト、リバース…というようなキーワードが響く方々には、とても相性が良いと思います。
 
 
■具体的な使い方(例)
具体的な使い方ですが、片方をリズムに繋ぐのが一番扱いやすいかもしれません。
例えばバンドで使うなら、Gateモードでドラムのキックにマイクをつなげて、ギターバッキングにスタッター風なリズムを加えるとか。
または、2つのギターをつなげて複雑なアルペジオを奏でるとか。
どんな効果が生まれるか試してみるまで想像ができないところが楽しいですね。
 
個人的には、卓上にエフェクターを置いて使うスタイルの人と相性が良いと思います。
ツマミやモードを積極的にいじって、サウンドの変化を楽しんでもらいたいです。
 
■ギターエフェクトととして使う場合
一般的なエフェクターのように、1入力だけでも使うことができます。
その場合、エフェクター内部で同じ信号をLとRに分けて互いに作用させることになります。
が、個人的には別々の信号を入力してこそ、このペダルの真価が発揮されると思いますので
正直なところ、ギター単体で使うなら同ブランドの"Molecular Diruptor"や"Stamme[n]"をおすすめします。
 
そもそも、weave以外のエフェクトは(名前は異なりますが)単体のエフェクトとして"Moleclar Disruptor"というペダルに入っていて、それらをサイドチェインで使えるようにしたのが"Stretch Weaver"だと私は理解しています。
 
また、このエフェクターは繋ぐだけで若干音量が下がるように感じます。
なのでスイッチャーなどのループに組み込んで使う場合、音量差が少し気になるかもしれません。
音質の変化はほとんど感じないので、直列で使う場合は問題ないかと思います。
 
■まとめ
以上、Stretch Weaverの紹介でした。
とにかく発想が新しすぎて、扱う側のセンスがものすごい問われるエフェクターだと思います。
他に似たエフェクターがないので使ってみるまで自分に合うか合わないか分からないかもしれません。
機会があればぜひ実機を試してみてください!